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オキナワコクモウクジャク(鹿児島)
Diplazium okinawaense Tagawa

オキナワコクモウクジャクは結構難しい。鹿児島県の大隅半島で見た大型の個体は、最初は何か分からなかった。色々なサイズの個体を見ていくうちに、本種だとようやく気付いた。

このシダの分かりにくさの理由の1つに、小羽片の大きさが急激に変化することがあると思う。たとえば、ある人は「オキナワは小ぢんまりしている」と言っていて、それに半分は同意できるのだが、おそらく葉身長50cm程度の葉のことを指しているのだと思う。葉身長80cmもの大型葉になると、最下羽片の小羽片がかなり大きくなってきて、かなり大柄な印象になる。「オキナワはデカい」と言いたくなる。

本種は、ソーラスの位置も解釈がしにくい。多くのシダでは、ソーラスが少ない葉では裂片や小羽片がゆったりしてくる(面積が大きくなる)。そういうときに、このシダでは「相対的に中肋寄り」にソーラスが付いているように見えるし、ソーラスが多く付いたときは、裂片や小羽片が引き締まることによって中間生に近くなってくる。これは、「ソーラスの中肋側末端〜小羽片中肋(裂片中肋)までの距離」は変化が小さい一方で、「ソーラスの辺縁側の末端〜小羽片辺縁(裂片辺縁)までの距離」は変化しやすいことによると思う。また、時期によってもソーラスの位置の印象は変わる。胞子嚢が成熟してきてボリュームがあるときには、より中肋寄りに見えるし、ソーラスが弾け終わっている古い葉では、中肋から少し離れ気味に見える。

 

目の錯覚レベルのものも含めて、いろいろなファクターがある。「オキナワはソーラスが中肋寄り」とだけ覚えていると、見誤ってしまう。鑑識眼が試されるシダだと思う。

アンカー 1

中型の葉。これくらいなら安心できるオキナワである。 鹿児島県 2022.4.30

近くにあった株。 鹿児島県 2022.4.30

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葉身上部の裏側。この辺を見るとソーラスの位置を解釈しやすい。 鹿児島県 2022.4.30

葉身下部の羽片先端。この辺を見るとちょっとややこしい。 鹿児島県 2022.4.30

葉身下部の羽片基部につく小羽片。 鹿児島県 2022.4.30

大型の葉。これが最初は分からなかった。 鹿児島県 2022.5.1

大型の葉。切れ込みが深く、シロヤマシダに似てくる。 鹿児島県 2022.5.1

大型の葉。葉身上部の裏側。この辺を見るとオキナワである。 鹿児島県 2022.5.1

大型の小羽片は深裂〜全裂し、裂片が小羽片中肋に対して直角気味に出る。 鹿児島県 2022.5.1

小羽片はかなり大きくなる。 鹿児島県 2022.5.1

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大型の葉。 鹿児島県産

大型の葉。葉柄下部〜基部。鱗片が褐色である。 鹿児島県産

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