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ミクマノシダ Diplazium nakamurae, nom.nud.

これは真のミクマノシダである。

御熊野(三熊野)の名のとおり紀伊半島南東部で見出された。

九州南部にもあるとされているが、ほとんど誤同定なので、かなり怪しいと見ている。

本種はシロヤマシダとニセコクモウクジャクの中間的な形態を持つとされ、当初は雑種として扱われたが、胞子繁殖をしている可能性があるらしい。

実際、根茎による繁殖では説明がつかない位置関係で小群生が点在していた。

(ただし、胞子を撒いてもほとんど発芽しない)​

本種の特徴として、(1)小羽片や裂片の中央がお皿状に凹むこと(近縁種に比べて顕著)、(2)ソーラスの付く位置は中間〜わずかに辺縁寄りで、ニセコクモウクジャクほど分かりやすい辺縁寄りではないこと(ニセコクモウも微妙だが)、(3)葉柄の鱗片が明褐色でニセコクモウクジャクのものより幅広く、葉柄に貼り付くようにして多数残存しやすいことなどが挙げられる(ヒュウガシダに似る)。

アンカー 1
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やや大型の葉。どちらかと言えば、シロヤマシダ(北方で見る型)に似ている 和歌山県 2022.1.9

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大型の葉。裂片の丸みも目安になるだろう 和歌山県 2022.1.9

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中型の葉。葉身先端部がやや鉾状になるところは、

シロヤマシダ(北方に多い型)に似ている 和歌山県 2022.1.9

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小型の葉。小羽片や裂片の中央がお皿状に凹んでいるのが分かるだろうか 和歌山県 2022.1.9

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ソーラスはやや辺縁寄りである。ニセコクモウクジャクのものよりやや長いか 和歌山県 2022.1.9

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葉身上部の裏面。見る部分によってはソーラスが中間生である 和歌山県 2022.1.9

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ソーラスのボリュームがある状態。

中肋沿いのスペースが空く印象がある 和歌山県産

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やや大型の葉。羽片の先端が急に狭くなるらしい 和歌山県産

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やや大型の葉。上の写真より若干小さいか 和歌山県産

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葉柄基部には広披針形で明褐色の鱗片が残る。

シロヤマシダのものよりも硬質な印象がある 和歌山県産

葉柄中部〜下部。明褐色・披針形の鱗片が多数張りつく 和歌山県産

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葉柄下部に張りつく鱗片。黒い縁取りがあるものが多い 和歌山県 2022.1.9

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